これから起業を検討中の場合には、起業に関する用語については正確に知っておきたいところ。
銀行やコンサルタントに相談する時の他、取り引き先との商談中に間違った使い方をして、恥をかかないようにしましょう。
今回は中でも混乱しがちな「起業」や「創業」などの言葉の違いについて。
起業をする際に言葉の意味を知っておいた方が良い理由とは
事業を始める際には挨拶回りや相談などで多数の方と知り合い、言葉を交わすことになります。
そのような場面において、あやふやな理解で話をしていくと誤解を招いたり、自身の信用が低下する可能性は否めないです。
もしかしたら自身に損害が生じたり、相手に迷惑を掛ける場合もあるでしょう。
したがって、起業をする際には事業や会社に関する言葉については、しっかりと意味を把握しておくことが大切と言えます。
起業の種類による意味の違い
起業に関連する言葉には色々な種類があり、それぞれに意味合いが異なるものです。
普段は何の気なしに使っていた言葉でも、実際に意味を調べるとイメージとは違って驚く場合もあるかも知れません。
ここでは、よく使われる言葉の意味について使用例を挙げながら見ていくことにしましょう。
「起業」の意味
これは文字通り、今から事業を起こすと言う意味で使われます。
似た言葉に創業があり、しばしば混同されて使われますが、こちらは創ったのが何年かと言う意味合いが強いです。
つまり、起業は「つくったのが何時」と言うことではなく、「これから作ろう」としている段階となります。
マラソンで考えると、今からスタートラインに立とうとしている状態。
「起業」の使用例
- 定年後には起業したい
- 起業のために準備している
- 起業するためには何が必要か
このような使われ方をしますので、時系列で言えば、今よりも先のことを示すのが特徴となるでしょう。
「独立」の意味
会社勤務の方にとっては「起業=独立」と言うイメージがあるかも知れませんが、この2つの言葉は、もちろん別物ですから気をつけましょう。
意味合いとしては「他者に頼らず、自身の意思や能力で事業を行うこと」と考えて良いです。
会社に勤めながら土日だけの事業を始めたり、そもそも無職の状態から会社を起ち上げた時には、独立とは言えません。
「独立」の使用例
- 独立を目指している
- 会社から独立した
- 独立して経営を始める
あくまでも独り立ちをしたことを表すので、事業を始めたか否かは関係ありません。
例えば、フランチャイズから脱退した場合には、起業はしなくても独立した形にはなりえます。
とは言っても、起業するためには独立が必要になるケースが多いため、この2つはセットで使われることが多いです。
「開業」の意味
これは字面のイメージから事業のスタートを指すのは理解に難くありませんが、注意したいのは特に個人事業で良く使われると言う点です。
その理由は、法人設立と個人事業の開始における法的な手続きの違いにあります。
まず、法人設立は会社法によって手続きが規定されており、これを完了した時に事業が開始される決まりです。
対して個人事業の方では手続きはシンプルで、届け出を出した時に事業がスタートします。
この届け出が一般に知られる「開業届け」と言う訳です。
このために個人事業で利用されるケースが多いですが、会社において利用しても、そこまで大きな間違いとは言えないでしょう。
会社では「設立」の方を使うのが一般的ですので、使い分けておいたほうが無難ではあります。
「開業」の使用例
- 開業の準備
- 開業までの運び
ちなみに医師や士業の先生方が事業を始める時にも、開業が使われる傾向があります。
「開設」の意味
こちらは施設やサービスなどの運用を開始すると言う意味合いが強くなります。
開業と開設の違いは、前者は事業のスタートに関してのみ使われるのに対し、後者はより幅広い事柄を対象にしている点です。
つまり、事業を始めるのが開業ですが、開設に関しては工場が完成した場合や、銀行口座やインターネット設備が利用可能になった時などにも利用されます。
「開設」の使用例
- 口座開設
- 工場が開設した
どちらかと言うと、開設と言う言葉は起業自体ではなく、そのための各種手続きや準備段階において使うケースが多いと思います。
「創設」の意味
会社の事業をスタートする際には「創立」を使うのが一般的ですが、「創設」はこれに対して、事業の一部門が開始されるようなケースで使われます。
つまり、会社自体をつくったときではなく、新しい部門やブランドなどの組織を起ち上げた時に創設と言う単語が使われる傾向が強いです。
「創設」の使用例
- 部門の創設
- 補償制度の創設
一つの大きな組織の中で新しい組織がつくられたり、制度が始めった時に良く使われます。
「創業」の意味
創業は一般的に法人が事業をスタートした時点を指すことが多いです。
大規模な株式会社などで、創業何周年と言う使われ方をします。
これに対して個人事業は創業ではなく、開業を使うことも多いです。
最初は個人事業であっても、後から法人成りしたような場合には、個人でのスタート時点を創業とするのが一般的と言えるでしょう。
ただし、この使い分けはあまり厳密ではなく、どちらに対して使っても大丈夫です。
個人事業に関しても「創業何周年」としている場合もあります。
会社を始める際に開業資金と言うこともありますので、そこまで徹底して使い分ける必要性はないでしょう。
「創業」の使用例
- 創業何周年
- 創業祭。
- 江戸時代の創業
事業を最初に始めた人間は特別に創業者と呼ばれます。
これは一応覚えておいても損はないでしょう。
「設立」の意味
これは会社が成立した時点を指しています。
個人事業と異なり、基本的に会社は各種手続きが完了し、法人登記を終えた時点で設立されたことになります。
これに対して個人事業では届け出によりますので、こちらは開業とは言いますが設立とはされないです。
つまり、設立と言う言葉に関しては、法人か個人かで厳密な使い分けがなされていると言えます。
創業との違いは明確で、この言葉は事業のスタート地点を指すのに対し、設立は法人として発足した時が対象です。
つまり個人経営からスタートして、途中で株式会社を起ち上げた時には、法人成りの時が設立と言う区切りになります。
「設立」の使用例
- 会社設立
- 設立資金
法人と言えば株式会社が有名ですが、他に設立を使う組織はNPO法人や住民自治組織などが挙げられます。
まとめ
この記事では、会社や事業を開始する時に使われることが多い言葉について見てきました。
それぞれが似た言葉でありながら、実際には違ったニュアンスで使われており、これは興味深い点であると共に、間違って使って失敗しないように注意が必要な点でもあります。
特に厳密に使い分けがなされている言葉に関しては、うっかりと間違った使い方をしないように気をつけましょう。
これらの言葉は正確に使いこなすことで、金融機関から融資を受ける際や、取り引き先との交渉の時に信頼感を得ることも可能なはずです。
もしも、言葉の意味を良く知らずに間違った言い回しをすると「ちゃんと勉強しているのか」と、心配されるかも知れません。
しかし、きちんと使いこなせれば、それだけ本気でチャレンジを考えていことが伝わります。
起業の際には個人事業でも各種許可や税務申告が必要になるなど、気をつけたい点は多いです。
これが法人設立となると、節税も含めて考えたいポイントは多くなります。
したがって、起業を考える時には焦らず、前もってじっくりと情報を集めておくことがおすすめできます。