会社員から個人事業主になる際に知っておきたい手続き(税金・保険等)まとめ

こんにちは。

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後藤(@tsuyoshi.0501)です。

 

会社員と個人事業主は保険や年金などの扱いが全く異なります。

年収アップのために効果的な個人事業主に挑戦するにも、生きていく上で重要な社会保障をおろそかにするわけにはいきません。

そこで本記事では、会社員の方が個人事業主に鞍替えする際に必要になる各種手続きや、注意点について解説しますので、これから起業される方はぜひ参考にして下さいね。

会社員から個人事業主になる為の手続き

会社員から個人事業主に鞍替えする場合に必要な書類は大きく分けて、以下の2つがあります。

  • 行政手続き
  • 私的な契約に関する手続き

いずれの手続きも忘れずに済ませる必要がありますので、ここで内容を確認してください。

開業届提出書を税務署に提出する

これから個人で事業を始める方は、税務署に開業届を提出するのが決まりです。

必要な書類はお住まいの市区町村の税務署か、国税庁のサイトから取得できます。

国税庁のサイトから書類をPDF形式で取得した場合は、PDFを印刷して必要事項を記入し最寄りの税務署に提出してください。

サイトから直接書類を提出することはできません。

書類の記入項目は次のとおりです。

  • 所轄の税務署名
  • 書類の提出日
  • 納税地
  • 氏名、電話番号
  • 生年月日
  • マイナンバー
  • 職業
  • 屋号
  • 事業を行う場所の住所
  • 開業年月日
  • 所得の種類
  • 具体的な事業内容

この内、納税地については注意が必要です。

住民票で登録された住所を納税地にする場合は特に問題ないのですが、事業所の住所を納税地にする場合は「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」の提出が必要になります。

この届出書は開業届と一緒に提出しましょう。

提出する場合は税務署に直接足を運ぶか、郵送しましょう。

直接出向けば開業届の控えが貰えます。

税務署の印を押してもらえるので必要な方は直接手続きを選びましょう。

また、屋号の項目は何を書いてよいか迷う方が多いですね。

屋号とはペンネームみたいなもので、自分が好きなものを指定してかまいません。

空白のままでも問題ありません。

ただ、記入すれば銀行で事業専用の口座を開設できるようになります。

私生活で使う口座と事業口座を別にしたい方は何かしら記入しておきましょう。

青色申告承認申請書の提出

会社員時代は税金の管理は全て会社がやってくれましたが、個人事業主になると自分で管理するのが常識です。

来年の納税額を決める上で重要になるのが、その年の所得を地方自治体に知らせる確定申告です。

個人事業主が選べる確定申告方法は「青色申告」と「白色申告」の2つ。

多くの方が控除のある「青色申告」を選ぶのですが、申告時期になっていきなり青色申告を行うことはできません。

青色申告を希望する者は確定申告を行う年の3月までに「青色申告承認申請書」を提出する決まりになっています。

もし忘れれば白色申告を利用せざるを得ませんから、税制上不利な確定申告になります。

事業開始初年度から収入が期待できる方は、青色申告承認申請書を提出するのを絶対に忘れないでください。

ただし、事業内容によっては始めの数年は利益が期待できない方もいるでしょう。

その場合には簡易な白色申告で済ますのも選択のひとつです。

白色申告であれば帳簿は簡易簿記ですから、記帳の負担は大幅に軽くなります。

青色申告承認申請書の提出先は税務署です。

開業届と一緒に提出するといいでしょう。

国民年金へ変更する

会社員時代は厚生年金ですが、個人事業主になると国民年金に変更が必要です。

分類的には「第2号被保険者」から「第1号被保険者」に変わります。

変更の手続きは、住民票のある市区町村の役場で行います。

手続きに必要な物は「年金手帳」と「認印」です。

受け付けている窓口は国民保険の係で、「種別変更届をお願いします」と言えば必要な手続きについて説明してくれます。

自治体によって時期は異なりますが、届出を提出すれば自宅に国民年金の納付所が送られてきますので確認しましょう。

会社員時代と大きく違うのは配偶者の扱いです。

これまでは配偶者も会社の保険に統合されていましたが、国民年金に編入すると配偶者も新たに国民年金の手続きが必要になります。

手続きをせずに放っておくと未納扱いになりますから、確実に済ませましょう。

金融機関から借入している場合は報告が必要になる

銀行や消費者金融から借入している場合は、職業が変わったことを報告しましょう。

銀行や消費者金融の利用規約にも職業や住所に変更があれば、速やかに報告する旨が書かれています。

これは融資サービスを行っている金融機関が、借り手の支払い能力を常に厳しく調査する義務を負っているためです。

支払い能力の無い者には融資しないよう金融庁に指導されています。

個人事業主となって収入が証明できるものが無くなれば、新たな融資を受けられなくなる可能性は高いです。

借入に頼った事業計画は控えましょう。

また、会社員時代に銀行などの借入の支払いが遅延していた場合には、CIC(指定情報機関)に乗っている場合があります。

CICに登録されていた場合には、いわゆる金融機関からブラックリスト化されているので、借入に不安がある人はチェックしてみましょう。

会社員から個人事業主になる際の保険について

個人事業主になると、社会保険に関しても変更が必要になります。

年金と同様、手続きが必須ですから退職したら時間を置かず済ませましょう。

国民健康保険と社会保険

雇用されていた時は会社が提供している健康保険に入るのが一般的ですが、個人事業主として独立すると複数の保険から自分に合ったものを選べます。

入れる保険は、以下の3つです。

  • 国民健康保険
  • 任意継続
  • 国民健康保険組合

このうち現実的に加入できるのは、国民健康保険任意継続です。

国民健康保険組合は、加入できる職業が特定のものに限定されているため一般の方には縁がありません。

どれにも加入しないという選択肢はありませんので、国民健康保険か任意継続から選ぶことになります。

国民健康保険に加入する場合は、お住まいの地域の役場で手続きができます。

会社の健康保険を退会したことを証明する書類と保険証を忘れずに持参しましょう。

任意継続の場合は「任意継続被保険者資格取得申出書」を記入して、お住まいの地域を管轄する協会けんぽ支部に、退職日の翌日から数えて20日以内に提出します。

任意継続は家族をこれまでと同様に会社の保険で面倒を見てもらえるメリットがあります。

その場合は、資格取得申出書の項目「被扶養者届」を正しく記入してください。

届出書と一緒に家族を扶養してると証明できる書類も必要になる場合があるので準備しておきましょう。

失業保険

会社員の場合、基本的にみな雇用保険に加入していますが、退職後は雇用保険から外れます。

個人事業主は雇用者ではないので雇用保険には入れません。

したがって、失業保険に加入する手続きは不要です。

気になるのは退職後に失業保険が貰えるかでしょう。

仕事を辞めた後、開業届を出さずにハローワークで仕事を探すのであれば失業給付は受けられます。

しかし、開業の準備を進めるのであれば失業保険は原則もらえません。

仕事を探す振りをしながら貰うことは可能ですが、後でペナルティを受けるリスクがあります。

とはいえ、失業保険については、僕達が運営するオンラインサロン『大人の楽屋』で、詳しく紹介しています。

現在会社員で、退職まで1ヵ月以上猶予がある場合には、『社会保障制度』を利用した方が、失業保険よりも多くの金額をもらえる可能性がありますので、ぜひ見て下さいね。

労災保険

個人事業主は基本的に労災保険に加入できません。

しかし、次の事業に従事する個人事業主は労災保険が認められます。

  • 個人タクシーなど車を使う運送業
  • 土木業や建築業
  • 水産物採捕業
  • 林業
  • 配置薬業
  • リサイクル業
  • 船員

上記以外の業種に従事している方は、労災保険の代わりに民間の保険会社が提供している就業不能保険などを利用することになります。

公的な保険より保険料は高くなりますから、リスクをよく考慮して加入しましょう。

会社員から個人事業主になる際の税金について

個人事業主になると税金の処理は、基本的に全て自分で管理する必要があります。

税理士に一任することも可能ですが、どのような税を負担しているのか把握しておくのは事業を進めるうえで重要です。

ここで個人事業主が管理すべき税について、しっかり把握しておきましょう。

租税公課

事業そのものにかかる税金が「租税公課」です。

いずれも事業を進めるうえで不可避なコストとして扱われる税金ですから、経費に計上することが認められています。

租税公課に分類される税金は次になります。

  • 個人事業税
  • 消費税
  • 固定資産税
  • 不動産取得税
  • 自動車税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 会費や組合費(組合や商工会議所など)

注目したいのは個人事業税です。

事業を営む個人が市区町村に納める税金ですが、納める必要があるのは一部の業種に従事する者のみです。

昔からある業種のほとんどが含まれるので、納めることになる事業主は大勢いるでしょう。

該当する業種は次の3つになります。

  • 物品販売、料理店、出版業など第1種事業:税率5%。
  • 畜産や水産業を含む第2種事業:税率4%。
  • 弁護士業や医業などの第3種事業:5%

消費税も消費者感覚で扱えない税金です。

租税公課に分類されるのは税込経理方式で処理する場合です。

この方式では消費税分だけを納めます。

しかし、過去2年の課税売上金額が1,000万円以下の事業者の場合は、消費税の納税義務を免除される仕組みがあります。

消費税が免除されるケースでは租税公課に消費税を加えるのは当然、認められません。

事業主貸

個人事業主の事業内容には関係なくかかる税金を「事業主貸」と呼びます。

事業には関係ない税金なので経費には計上できません。

なお、個人と事業のどちらでも利用する物に関連する税の場合は租税公課と事業主貸で分散して計上します。

事業主貸に属する代表的な税金は次の5つです。

  • 所得税
  • 相続税
  • 住民税(都道府県民税、市町村税)
  • 国税や地方税の延滞金など
  • 罰金

事業主貸で注意したいのは所得税と住民税です。

事業主がその年の1月1日から12月31日までの間に得た所得から税額が算出されるのが所得税です。

いわゆる確定申告で決定している税金のひとつです。

本来は売上から経費を差し引いた額に所定の税率をかけたものが税額になっていましたが、2013年以降はこれに加えて2.1%の「復興特別所得税」が加えられるようになりました。

復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興に用いられるために創設された税金です。

納税する義務がある人すべてが支払わなければならず、給料などの源泉所得税についても復興特別所得税額が併せて徴収されます。

また、確定申告をする人は所得税だけでなく復興特別所得税も申告・納税しなければなりません。

引用:税金CONPASS

所得税はその年の3月15日までに納めるのが一般的です。

納付は次のいずれかで行えます。

  • 管轄の税務署
  • 地方銀行
  • ゆうちょ銀行
  • 信用金庫
  • 地方銀行
  • コンビニ(納付額が30万円以下限定)

所得税は納税期限を延長できる仕組みがあります。

支払い期限日までに所定の納税額の半分以上を納めたなら、残りの分に関しては納税期限を先延ばしできます。

この場合、残りの分に年利1.8%の利子が付くので注意してください。

会社員から個人事業主になる際の注意点

個人事業主を始めるにあたって注意すべきことがあります。

ひとつは個人事業主になる前にしておくべきことで、もうひとつはなった後に注意すべきことです。

まずは、なる前にすべきことを解説します。

クレジットカードを作っておく

個人事業主になった直後は支払い能力が大きく低下します。

預貯金が大量にあって、支払い能力に実質的に大きな違いがなくても世間一般から見れば、収入が得られる仕事を失った失業者くらいの支払い能力しかないと思われます。

そのためクレジットカードに新規で加入するのが大変難しくなります。

入りたいクレジットカードがある場合や、一枚もクレジットカードを所有していない場合は、念のために会社に所属しているうちにカードを作成しておきましょう。

大きなローンは済ませておく

クレジットカードと同様の理由で大きなローンも組めなくなります。

車、住宅ローン、教育ローンなど人生を左右しかねないローンは、個人事業主になる前に組んでおくのが大切です。

もちろん必ずしもローンを組めば良いという訳ではなく、事業開始直後はなるべく支出が出ないことも大切ですから、返済計画に余裕を持ってローンを組む。あるいはそもそもローンを組まないことも大切です。

社会保険は前年度の所得を考慮して決める

前述したとおり会社員から個人事業主になった方は、社会保険に国民健康保険か任意継続を選べます。

今まで通りの保険を好む方が多いので任意継続が選択されますが、決める際は来年の保険料を考えましょう。

国民健康保険の支払い額は前年の所得に左右されます。

開業する前年の所得が少ないなら、国民健康保険を選ぶ方が圧倒的に安くなるケースもあります。

白色申告にはメリットなし!

確定申告を複式簿記で記帳するのは面倒だと白色申告を選ぶ方もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。

白色申告は税制上のメリットが何もありません。

それよりも10万円の控除が付けられる簡易簿記型の青色申告を選びましょう。

帳簿の負担は白色申告と同等です。

まとめ

会社員から個人事業主になる場合に気を付けることは、社会保険や年金など社会保障に関することがメインでした。

個人事業主になることで所得は増えるかもしれませんが、それ以上に社会保障は手薄になります。

不足分は資産運用や保険会社の保険などで補わないと将来の老後資金が不足したり、働けない時期に困窮する可能性もあります。

開業したての時期に先のことを考えるのは大変ですが、将来の収入をシミュレーションしながら新たな保険プランを組み立てて、安心安全に事業に取り組みましょう。

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